インフルエンザの抗原検査や新型コロナウイルスの判定のPCR検査などを行う際には、感染拡大防止の観点から他の患者と分離した「検査スペース」で検査を実施することが望まれます。クリニックで導入できる検査スペースにはいくつかの種類がありますが、結論としてはコストと使い勝手のバランスが取れた「簡易ブースタイプ」の検査スペースを導入するのがおすすめです。
この記事では、医療用の検査スペースに必要な条件や、製品タイプによる違いを解説していきます。各製品タイプは、どういった場合におすすめなのか、また導入する場合の手順等についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
医療用検査スペースとは?概要や設置のポイント
医療用の検査スペースをクリニックで導入するには、適した設置場所や必要な条件、設備のポイントについて把握しておきましょう。
なお、本記事で言う「医療用の検査スペース」とは、院内または病院敷地内の屋外に設置するブースタイプの検査室を指します。前述のとおり、新型コロナウイルスのPCR検査やインフルエンザウイルス抗原検査などを行う際に使用されます。
検査スペースに必要な設備の条件とは
検査スペース内は、飛沫感染や空気感染のリスクが非常に高くなる環境です。そのため、以下のポイントを満たす設備を選ぶことが重要になります。
- 内部消毒のしやすい、シンプルな形状であること
- 飛沫を防げるよう、四方を壁に囲われていること
- 医療機器を接続できるよう、配線を繋げる穴があること
- 換気用の窓や通気孔があること(高換気状態を維持できること)
その他、検査スペースを常設にしない場合は「移動のしやすさ」「組み立て・片付けのしやすさ」なども重要な条件になります。
検査スペースの設置場所について
医療用の検査スペースは、院内または屋外に設置します。設置可能なスペースや患者・スタッフの動線など考えた上で、自分のクリニックにはどちらの設置場所が適しているかを確認してみましょう。
院内に設置する場合と屋外に設置する場合それぞれの留意点は以下の通りです。
院内 | 空気の流れや空調の位置を考慮して、感染のリスクが低くなるような場所に設置する患者の動線やゾーニングを意識して配置する床の耐荷重に合った重量のブースを選ぶ臨時的なスペースにするか、常設のスペースにするかを予め検討しておく |
屋外 | 臨時的なスペースにするか、常設のスペースにするかを予め検討しておくクリニックの裏口から近い場所に配置するなど、医師やスタッフの動線を配慮する屋外に必要なスペースを確認しておく |
不確定な事項がある場合は、後から移動や片付けがしやすいように「軽量なブースタイプの検査スペース」を選ぶのがよいでしょう。移動を想定していない場合は、配置スペースや動線を十分に考慮した上で、感染リスクの押さえられる場所に適切に配置します。
また、院内に設置する場合も屋外に設置する場合も、「消防法上の届け出が必要かどうか」の確認をしておく必要があります。天井付きのブースやプレハブ、また天井に届く高さまで仕切り壁のあるパーテーション等を配置する場合は、消防法の届け出が必要になるケースがあります。消防法に違反すると、設置物の撤去を命じられるだけでなく罰則等の対象になるため注意が必要です。
医療用検査スペースの種類と特徴
医療用の検査スペースに適しているブースの種類について解説していきます。検査スペースとして活用できるブースの種類は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 天井開放型の簡易ブースタイプ
- PCR簡易検査等専用ブースタイプ
- 物置(プレハブ)型の個室タイプ
上記3種類のうち、コストと設置のしやすさ、使い勝手を総合した場合に最もおすすめなのは「天井開放型の簡易ブースタイプ」の検査スペースを導入することです。限られたスペースの中で検査スペースを用意したいと考えている場合や、感染疑いのある患者の待機室(隔離室)としても活用したいと考えている場合は、特に簡易ブースタイプがぴったりだと言えます。
とはいえそれぞれのタイプによって、メリットデメリットや適した配置場所などは異なります。どのポイントを重要視するか、ご自身のクリニックの間取りや検査スペースに求める条件などと照らし合わせ、比較検討してみましょう。
次からは、各タイプの詳細を解説していきます。
検査スペースの種類1.天井開放型の簡易ブースタイプ
ワークブースや集中ブースとしても使用されている、天井がない扉付き半個室ブースを検査スペースとして活用する方法です。天井が開放されているため、病院の換気システムに沿った場所に配置することで高い換気性能を維持することが可能です。
また簡易的なパーテーションやカーテンとは異なり四方向が壁になっており扉で出入りできるので、検査時に発生する飛沫が周囲に飛散しにくく、感染リスクを低減することができます。
PCR検査に特化した簡易ブースとは異なり、周囲から見えないような壁材が使用されていることが多く、検査スペース兼隔離室としても活用可能です。ワークブースとして使用できる性能があるため防音性や気密性にも優れており、患者のプライバシーを確保することができます。幅広い活用用途がある点も簡易ブースならではのメリットです。
簡易ブースタイプの費用は30万円からが相場です。カスタマイズ性の柔軟さは製品によっても異なるため、導入前に提供会社に相談し、クリニックにあった仕様に変更可能かどうかを確認することをおすすめします。
メリット | デメリット |
軽量な製品が多く、幅広い場所に設置できるキャスター付き製品なら移動がしやすいサイズや仕様を柔軟にカスタマイズできる製品が多い比較的低コストで導入できる消防法の届け出が不要 | 天井が開放されているため、完全個室のブースよりは感染低減効果に劣る屋外に設置できない |
メリット・デメリットを総合すると、天井開放型の簡易ブースタイプは以下の場合におすすめです。
- 設置スペースが限られている場合
- クリニックの隔離室としても使用したい場合
- コストと使い勝手のバランスを優先する場合
- 移動できるブースを求めている場合
天井開放型の簡易ブースタイプの検査スペースなら、「おもいっきり集中空間」がおすすめ
※引用:おもいっきり集中空間
天井開放型簡易ブースの「おもいっきり集中空間」は、医療用検査スペースとして活用することができます。カスタマイズの柔軟性が非常に高く、幅広いサイズ変更や扉・窓の増設・位置変更などにも対応できます。
組み立ても楽に行うことができるうえ重さが30kgと軽量、さらに底面キャスターも付いているので、クリニック内での移動や設置も楽に行なえます。
医療機関における導入実績も複数あり、検査スペースのみならず幅広いシーンに合わせた活用が可能です。
<基本情報>
価格 | 要問い合わせ(298,000円~) |
サイズ | 幅1320×奥行1040×高さ1840mm |
重さ | 約30kg |
コンセント | 1口 |
USBポート | 1口 |
空調機能 | 天井開放 |
消防法への対応や追加工事 | 不要 |
会社 | 株式会社アドライズ |
検査スペースの種類2.PCR簡易検査等専用ブースタイプ
PCR検査や、インフルエンザ等のウイルス検査に特化したブースタイプの検査スペースです。ブースに開けられた穴に直接検査用の専用手袋が設置されており、医療従事者はブースの外側(または内側)から腕を入れることで、パネル越しに検査を実施することができます。
PCR検査等に特化した作りになっているため、検査効率を上げられる工夫が施されているのが最大の利点です。簡易的な製品の場合は背面が開放されているパーテーションタイプのものもあるため、感染拡大防止のためには院内の設置場所に配慮する必要があります。
ブースタイプの費用相場は20万円程度となっており、パーテーションタイプの場合はより安価な製品もあります。
メリット | デメリット |
軽量な製品が多く、幅広い場所に設置できる比較的低コストで導入できるパネル越しに検査が行えるため、医療従事者のウイルス暴露リスクを低減できる簡易的な空調や陰圧装置などが入れられる製品もある | PCR等の検査用に特化しているため、他の用途に使用しにくい院内に常設しておくことが難しい背面が開放されているタイプは、設置場所に配慮する必要がある |
メリット・デメリットを総合すると、PCR簡易検査専用ブースタイプは以下の場合におすすめです。
- 大量検査を目的としている場合
- 検査が必要な疾患の流行時に臨時で設置したい場合
検査スペースの種類3.物置(プレハブ)型の個室タイプ
天井まで覆われた完全個室のプレハブ等を、検査スペースとして導入する方法です。オプションなどによって陰圧システムや空調、受付用の小窓等の幅広い設備・機器類を設置することができ、もうひとつの診察室としても活用することができます。基本的には屋外の設置が適しているので、敷地面積に余裕のあるクリニック向けの方法です。
小型の検査スペース用プレハブの費用相場は40万円ほどとなっており、サイズによっても費用は大きく異なります。オプションを付けると比較的大きめのコストがかかるため、必要な機能を吟味して過不足なくオーダーするようにしましょう。
導入コストの高さから、検査スペースとしてだけではなく、感染力の高い疾患に罹患した患者の診察スペースとしても利用する方法が適していると言えるでしょう。
メリット | デメリット |
屋外に設置できる空調や陰圧装置などが入れられるため、感染リスクの低減効果が高い幅広いサイズの製品が選べる堅牢で気密性が高い | 一度設置すると移動・撤去が難しい消防法の届け出が必要な可能性がある導入コストが高い |
メリット・デメリットを総合すると、物置(プレハブ)型の個室タイプは以下の場合におすすめです。
- 屋外に検査スペースを設置したい場合
- 隔離室や診察室としても使用したい場合
医療用検査スペースの導入手順
医療用検査スペースを導入する場合の手順を紹介します。
- 設置場所をどこにするか決定する
- メーカーに問い合わせ、必要な機能やサイズなどについて相談する
- 消防に関する確認を行う(消防法の申請が必要な検査スペースの場合)
- 見積もりを行い、製品を決定・購入する
- 消防申請を行う(消防法の申請が必要な検査スペースの場合)
- 仕様の確認や最終的な調整を行う
- メーカーにて製造がスタートする
- 製品の組み立て工事を行うか、自分たちで組み立てができる場合は自分たちで設置する
複数の製品を比較検討する場合は、以下の観点でクリニックに合った製品を選定できるとよいでしょう。
- 問い合わせの際に誠実に対応してもらえるか
- 希望のサイズや仕様に沿ったカスタマイズができるか、製品展開があるか
- コストと機能のバランスがちょうどいいか
医療用検査スペースとして利用できる簡易ブースタイプの「おもいっきり集中空間」なら、クリニックの要望に合わせたサイズ調整や細かな仕様変更なども承っています。
製品のお問い合わせは、お電話だけでなく、Web会議・ご訪問なども可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
医療用検査スペースを使用した検査の流れを解説
最後に、医療用検査スペースの基本的な使用方法を解説します。ブースのタイプなどによっても異なる場合がありますが、以下の流れで使用するのが一般的です。
- アルコールや次亜塩素系希釈液で扉の消毒を行う
- 患者に手指アルコール消毒を実施してもらう
- 患者をブース内に案内する(原則として扉はスタッフが開閉する)
- 患者へインフォームドコンセントを行う
- 検査を実施する
- 患者の退出後、内部の消毒を行う
- 使い捨て手袋等の付け替えを行う
- ブース内を十分に換気する
最後にまとめ
医療用検査スペースは、インフルエンザや新型コロナウイルス検査の際に他の患者との分離を保つために必要であり、その種類としては天井開放型の簡易ブースタイプ、PCR検査専用ブースタイプ、物置型個室タイプがあります。中でも簡易ブースタイプがコストパフォーマンスと使い勝手のバランスで優れています。ブースは換気や飛沫防止、消毒の容易さなどを考慮して選ばれ、クリニック内外のどちらに設置するかによっても留意点が異なります。医療用検査スペースがないとお悩みの方はぜひ当社ブースをご検討ください。お問い合わせお見積もり無料です。